暑くともアクティブに動き回りたい夏。おのずと着こなしが軽量化するシーズンだけに、「気づけば淡白なスタイリングになっている」なんて人も多いのでは? シンプルこそおしゃれの王道であり、右へ倣えなその姿は確かにハズレがないのだが、その一方で面白みに欠けるのも事実である。となれば、活躍するのは気の利いたアクセサリーであり、特に露わとなった腕元への投入は効果的だ。ブレスやバングルという手もあるがまずは腕時計。その理想的な回答を示してくれるのが、『フォッシル』の名作「ビッグティック」である。
1970年代、日本製の安くて正確なクォーツウォッチが世に広まり、瞬く間にスイス時計のシェアは縮小した。俗にいう、「クォーツショック」である。これを危惧したスイス時計界は、ニコラス・G・ハイエック氏に助言を求めた。そこで彼の指揮のもとに開発されたのが、薄型のクォーツムーブメントと安価なプラスチックケース、そして若者に受け入れられるデザインを融合した『スウォッチ』だったのである。手を出しやすいリーズナブルさに加えて、信頼の置けるスイス製であること、さらに定期的なデザインのイノベーションによるバリエーションの豊かさから、ここ日本でも1990年代に大ブームを巻き起こした。